平清盛の興味のあるところだけちょっと摘んで感想的な事を。具体的には雅仁親王の部分を主に。
全体的にとか詳しかったり真面目な感想は書きませんのでお暇で怒らない方のみお付き合いを。
一応少し、後白河院の関連書籍は読みましたが、私の知識はそんなもんです。源氏サイドなら多少は詳しいんですけどねー。
9話 ふたりのはみだし者
頼長にしか興味がなかった私の度肝を抜いた回、と言うかみずら、はもう以前に触れたので割愛。
しかし大河ドラマでよくある事とは言え、大人が11歳の童子を演じるのは中々無理がありますよね。でもなぜか雅仁親王は似合っているみずら。それもとてもとても美しい、見た目も雰囲気もすべてが品がいい。今まで主に汚い風体の男を見てきたのですっかりやられる。松田翔太は中々出せない気品を感じさせてくれてかなりいい、素晴らしい。
雅仁親王はどう見てもスラム街みたいなところへ派手な赤い狩衣(模様は鳳凰の子なんだそうな、凝ってるなあ)に一応被衣で顔を隠してやって来て博打場へってあんなのすぐ博打の前に身ぐるみはがれそうだよ、と思った。周り超治安悪そうだし。でもよく見ると博打場の入口で被衣を捧げ持ってる人がいて、一応お供なのかも。銀の首飾りがしゃらしゃらと涼しげな音をたてます。
雅仁親王は双六で勝ってお強いですねーなんて言われ毛皮ゲット。纏ってみているとそこへ通憲さんが。いつの間にやら雅仁親王の乳父になったらしく探しに来たのでした。しかしどうでもいいが烏帽子が透け透けなのはなぜだ、中が見えたら意味ないじゃん。
慌てて雅仁親王を連れ出しますがもう十分目立ってますよデカイし。
連れ戻した雅仁親王に通憲は説教するのだが「博打など所詮負けるように出来ております」ってそこが論点かよ。しかし雅仁親王は大層雅な声で(これも驚いた、松田翔太って芸達者だ)「なるほど、そなたが申すと生々しい。そなた達夫婦が私の乳父母になったのは一世一代の大博打のようなものだろうからな」とか言って通憲さん思わず感心。11歳の子供にしては実に鋭い、置かれた状況の分析が。
雅仁親王は庭で蝸牛を見つけると「舞え舞え」と今様を始める。私は今様はちょっと聴いた事があるのですが、こんな節のある感じではなかったような。でもこの方が聴いててずっと楽しいです。また声がとっても艶と伸びがあって素晴らしいですねえ。インパクトありすぎていまだにふと口ずさんでしまいます。
一方のはみだし者は父親になりました。血を分けた我が子じゃーとか感涙に咽んで、なんか山賊の宴のような誕生パーリーやってお祝いに来た弟と仲良く酒を飲んでました(やる気なくてすみません)ここのナレーション(頼朝)が平氏は兄弟仲がいいがそれに比べて王家はみたいな。お前がそれを言うなってきっとみんな思ったろうな。
崇徳帝は子供の出来ない后に身を引かれたりとますます孤独に。そんな時中宮の得子に遂に皇子が誕生してしまいます。
義清が璋子とどうたらとか崇徳帝がなんか怨霊の片鱗見せてて怖いは割愛。
得子が産んだ皇子の躰仁親王の誕生を祝う宴になぜかいる璋子、しかも下座。まあもうこの時期中宮得子の方が寵愛されてるからなあ、ただこのドラマでは無駄に複雑なんだが。
またここで義清が崇徳帝の歌を詠んだりして場が重苦しい空気に。義清が気に入らない頼長は嫌な顔。
そこへ高笑いと共に雅仁親王が上皇らの御前に乱入、兄らしい恨みがましい歌だときって捨てる。でもこれ、ひそかに義清も崇徳帝も助かってる気もするんだが、穿ち過ぎか。
ひとしきり馬鹿笑いの後、雅仁親王はお祝いの口上を述べ、弟宮を抱かせて欲しいと頼みますがつねって泣かせてしまいます。戯れが過ぎると怒る鳥羽上皇に、私の戯れなどかわいいものだと言い返します。
そもそも璋子だけでなく雅仁にとってこの皇子の誕生は複雑な事です。彼は四ノ宮ですが他の兄は健康ではなかったのと帝に子がない事から、本来なら皇太弟になってもおかしくない立場と血筋です。でもこれでかなり微妙になりました、なにせ躰仁親王は上皇が今寵愛する得子の子供。
更に雅仁親王の言葉は続きます。あなた方の戯れの果てに生まれたのがこの躰仁、后の宮を遠ざけ政もそっちのけで側女に入れ込む、国の頂点での御戯れはさぞかし楽しゅうございましょう、得子様は躍起になって皇子を産み、いずれは国母の座を狙っておいでかと次々に爆弾発言。
得子も璋子を先の院と密通して上皇様を傷つけると暴露、挙げ句璋子は「私は人を愛しく思う気持ちが分からぬ」とか言い出す始末。
これには雅仁親王爆笑です。だってそれって息子である自分も夫である上皇も愛しいとは思わないって事だもんね、笑うしかないよねそんな事を言われては。
再び高笑いで去っていく雅仁親王、摂関家の内大臣頼長は気分が悪いと言い出し3人揃って退出してしまう。
清盛はこれが皇子の誕生を祝う宴かと憤りますが、通憲はそれを諌めた後なぜか雅仁親王を毒の巣とかよく分からないもの呼ばわり。当人は再び遊びに行っちゃってます。
ドロドロ恋愛劇は割愛。
なぜか必死に雅仁親王を探す清盛、博打で身ぐるみかっぱがれた雅仁親王を見つけます。しかし服より高価そうなシルバーアクセは無事、ついでに一応真っ裸は免れてる。
なんだか落ち込んでいる風の雅仁親王を自宅に連れ帰る清盛。さすがにあの形では帰せないよな。着せたのは水干ですが、この家にこんないい服あったんなら着ろよと言いたくなるような地味だけど中々良さそうな物でした。そらそうだよ平氏は金持ちなんだから。
すっかりいつもの調子に戻り、清盛宅の訳分からん物をいじる雅仁親王に清盛は、なぜ度を越したお戯れをと尋ねる。なんだか今回は大人の余裕があるな。
雅仁親王は清盛が白河院の御落胤であるのを知っていると。そしてこの世に生まれる事が既に博打、大方の負けは決まっていると言います。
清盛は自分は武士になって良かったと言うのですが、雅仁親王はそれを途方もない負け惜しみであると笑い飛ばします。まーそうなんだよね、なんかこのドラマだと軽いが帝の子と武士では本来なら雲泥の差ですからねえ。
しかし転げ回って高笑いした雅仁親王はふと醒めた顔。清盛は自分にはその笑い声は赤子の声、ここにいるぞと母を求め喚き散らす赤子の声にしか聞こえないと言います。どうした急に清盛が大人で賢いっぽい、気持ち悪い(こら)
それを聞いた雅仁親王、真顔になると(かっちーんて音が聞こえるよう)清盛に負けた方が言う事をきく権利を賭けた双六勝負を始めます。ライアー…いやなんでもない。
そこにいつの間にか歩くほどに成長した清盛息子が来てしまう。雅仁親王またほっぺ触ってるが好きなのか。というかこのドラマはホントに時間経過がわかり難い。それを見た雅仁親王は自分が勝ったら息子を貰うと言い出す。清盛は驚き拒否するものの、負けなければよいと強要され嫌々ながら始めるが不利な状況に。強いんじゃないのかよ、動揺してるからか。
清盛は頭を下げ赦しを請うが雅仁親王は受け付けない。そこで賽を振るのを躊躇っていると突然息子本人が自分の運命を決めるサイコロ振りをして見事に決める。清盛が喜んで仲良く息子と駒を進めていると、突然雅仁親王が駒を薙ぎ払い「幼子でも許さん」と双六盤を邪魔をした清太に振りかざします。それを守ろうと雅仁親王に刀を向ける清盛、ゴイスー(投げやりな突っ込み)
雅仁親王は「脆いものぞ親子の絆など。いずれそなたも疼こうぞ白河院の血が、現に生きるもののけの血が」と囁くように言うと高笑いと共に去って行きますが、その顔はどこか切なげに見えました。彼には親子の絆など脆いものでもうないものなのでしょうか。
これが清盛と御白河院の長い長い双六遊びの始まりでした、は珍しくシャレオツなナレーションでしたね。
なんか普通に雅仁親王が不憫に思えるのですが。奇行子かも知れないが、そう振る舞っていてもどこか寂しい感じ。なんだかんだ恵まれてる清盛のグレたのとは根深さが違うと言うか。
なんにせよこの回で私の心はわしづかみだ。
10話 義清散る
つーか散ってねえ、は置いておき雅仁親王の元服シーンを。その前に清盛ったら雅仁親王が帝になったら世も末だとか言ってますが、後々どう変わりやがるんでしょーねー。
雅仁親王は12歳で元服を迎えます。少し早めですがドラマ的には良かったね。
今日ばかりは雅に振る舞っているとちょっと惚れ惚れと見守っている風の通憲、璋子も上皇も珍しく嬉しそう。それほどに冠を付けた雅仁親王は実に気品に満ちた美しいお姿です。本当に時代装束似合いますねえ。
ところがそれで終わらないのが雅仁親王、突然鉦の音と共に今様を歌い始める、更に踊りながら数人の白拍子が入って来て、雅仁親王の周りを周りながら一緒に歌います。この時の不敵に楽しそうな顔が素敵。
余りの暴挙に鳥羽上皇は「これからはそれに相応しき振る舞いをせよ」と叱り付けますが、雅仁親王は「相応しいとは」とすっとぼけます。まあ雅仁にしたらまだ決定ではないものの帝にする気もないくせに相応しいってどういう事ってところでしょうね。優雅に舞いながら上皇に見せたドヤ顔が最高。舞の良し悪しはまったく分かりませんが、とても雅やかと言うか艶やかでした。
その後も奇行は酷くなるばかりの雅仁親王、楽しそうに鼻歌混じりに廊下を歩いている。相変わらず透けた烏帽子が変だが、ここで羽織ってるの博打で取られた狩衣ですよね?
取り替えして来たからご機嫌なのかなと思ったらばったり得子と遭遇。御所も狭いわけじゃなかろうし、皇子と中宮がそんなに近く住んでるとも思えないがとにかく遭遇。
もちろん雅仁親王は璋子のように安々と道を譲ったりはしません、一応元服のお祝いを述べる得子に「得子様もおめでとうございます。先の院の寵愛を受けた我が母を蹴落とし、諸大夫の娘が国母になる日も近うございますな」といきなり涼しい顔で先制パンチ。
負けじと得子、そなたのようにねじ曲がった心根の者がとても上皇様のお子とは思えぬ、そなたも先の院の子なのではないか、ならそなたは帝のように疎まれいらぬ存在、生まれてこずともよい命みたいな事を言い放ちますが、雅仁親王は顔色一つ変えず。
しかしそこへ通りかかった(偶然って重なるな!)璋子は血相を変えて得子に「雅仁はまごう事なく院の子、いらぬ存在ではございません。取り消してくださいませ」と詰め寄り、得子が返事をしないと「取り消してくださいませ取り消してくださいませ」と繰り返しながら得子に掴みかかる…。璋子ちゃんとうとう壊れた、あるいはまともになったのか。雅仁親王は母の言葉にも目立った反応は見せず。
というか嵩徳帝がかわいそう…。
これでしばらくは雅仁親王の出番はないようです。残念だが確かに表舞台に立つ時期じゃないしね。でもすっかり雅仁親王の今様が気に入ってしまったので、とりあえずたまに歌ってるシーンとか入れてくんないかな。この後いよいよ雅仁親王は今様狂いになっていくんだし。いつでもきっと歌ってるよ。
という事でまた雅仁親王が出て来て、気が向いたら感想書きますね。
しかしやっぱり平清盛は題材に向かないのかもなあとちょっと思いました。朝廷に食い込もうとあれやこれやしながら当然家の中もあれやこれや。主に揉め事は家の中、目的もはっきりしてる源氏とは違って扱い難いんじゃなかろうか。
その上清盛が本来の方向で驀進するならまだしも、武士は王家の犬ではないとか面白く生きたいとかどうもいまのところはっきりしてない。清盛って天皇の外祖父になって権勢を奮いたかったんであって、武士である事にそれほどこだわりあったのかなあ、と思う。
だいたい清盛の最期って結構半端ですよね。ドラマの始まりは壇之浦で平氏滅亡の報を聞いた頼朝が喜ぶ源氏の人々を叱り飛ばすと言う実に意味不明なものでしたが、そこまでドラマ本体で描く必要ないよーな…。
まさか福原に遷都した時に、これぞ武士の都じゃーとか言って華々しく終わるとか。いやいや、まさかそんな、ねえ。
色々な意味で興味深くはあるが、見続けるかは後白河の扱い次第。悪左府の最期は見届けますが。