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心療中―in the Room― 改めてまとめて見てみた

前に放送で見ていたけど、途中の1話を録画し損ねたのが心残りだったこのドラマ、今回まとめてDVDで見てみました。うん、その方が楽しめます。毎週1話も緊張感があって良かったけど、改めてまとめて見てみるとより深く楽しめます。
こういうドラマ、もっと見たいよな。

このドラマはスクールカウンセラー天間了とその生徒との対話を描く、シチュエーションドラマとう事で、なんか海外ドラマが下敷きにあるそうで。更に天間の家族にも問題が。妻は突然浮気相手とイタリアへ旅行すると出て行き、娘は朝帰り、息子は不登校。天間自身も母親の自殺に巻き込まれたり、浮気して母を捨てた父を憎んでいたりと盛りだくさん。
生徒たちも難物が揃っていて、しかもみな大なり小なり天間に敵意を持っていて、カウンセリングシーンはほっとするような事はあまりない。しかも毎週少しずつしか背景とか事情とか、生徒の考えとかが明らかになって行かないのできちんと集中して見なければ駄目。

内容に触れます。
まずカップルカウンセリングに来ている奈々と蓮。奈々は妊娠していて、なのに蓮が浮気をやめない事を問題にしている。病気と決めつけて。天間にも様々な言葉を投げつけ、とうとう子供は堕胎して別れた方がいい、と言わせたり。しかし奈々は想像妊娠だった。
親から子育ては親育てと言われて育った奈々は子供が出来たら蓮がまともになるのではと。お互いに愛情は本物だったけど、蓮の方が育ちが違うとか色々引け目があったり。
結局、蓮は母子家庭でいい人だけど駄目だった父親の悪口を言われて育ち、父を悪く思わないと母を裏切る事になるように思っていた。だから真面目で浮気をした事がない父の逆をやっていたという事に気が付き、一旦別れた奈々のところへもう一度…という。

美波という摂食障害の生徒、実は双子の姉がいてたまに入れ替わっているという展開。最初は双子は嘘で美風なんてのはいないと思ってたけど、本当にいたり。美風はDV男と付き合っていて、止めたい美波であったり、また双子だからと言って私と同じような男と付き合うんではないかと心配する美風であったり。DV男に魅かれるのは母親の影響とか。
結局、美波の彼氏が手を回して美風を救うのだけど、この彼氏がまた天間の患者で、最後の方まで一番怖い生徒だったり。

その生徒が、朔也といいIQ160の天才。あの手この手で天間を揺さぶり、天間の事や家族の事、施設に入れてほっといてある父の事などまで暴かれ、天間が激昂する事態にもなる。
朔也は朔也で自分が仕組んだ事でクラスメイトを自殺に追いやった過去があったり、知的障害のある妹の世話を幼い頃から押し付けられ(期待され)でも一度、せめて家に帰るくらい一人でできるだろうと妹を放置して、妹がいたずらされる事態になったり。それらを気に病んでる。
妹を殺すか、自分が生き残るしかないとまで思いつめていたが、過去の色んな事を天間に打ち明ける事によって救われ、美風も正攻法で助けた、これからはただ暮らしてみたいと天間の診療を打ち切る。
私これ、最後にどんでん返しがこないかドキドキしました。それくらいこの生徒はヤバかった。演じてる子が棒読み気味なのが返ってハマってた気がします。

光という生徒は他の生徒に比べると明るく、家族の事を楽しそうに天間に話したりするが、実はコイツが一番ヤバいパターン。話して行く内に事故で半身不随になった兄の面倒を一人で見ていたり、その兄にパシリにされていたりが明らかになって行き、更に事故の原因が瞬が車掃除を命じられた時にわざを足元に遺したペットボトルのせいだと分かる。
兄に尽くしているようで、温泉に連れて行くと言いだした光の家に天間は連絡を。カウンセラーは患者が人に危害を加えるような事を察知した場合は守秘義務から外れるので。天間は母が自殺のような事故で死んだ時に自分も車にいた事などを話したり。
光は事故を予見しなかったと言っていたが、実はすべて計算ずくの行動だった。母が兄の高校受験に口出ししたせいで兄は受験に失敗、荒れた兄の命令をなんでも聞いて奴隷のようになれと仕向ける母、それにそういう形で復讐した光、という展開。
カウンセリングに通ったのもここでなら本当の事を話しても守秘義務があるからという光。一番後味の悪い終わり方。

瞬という生徒は、自分はゲイかもとか、友達を殴ったからまともじゃないとか、放火するとか人を殺すとか色々言うが中々、なぜ自分がカウンセリングに来ているか言わない。灯油を買いだめているのを見つかって、逃げるように夜中に天間のところに来て、ようやく箱庭療法でその糸口がつかめそうになる。瞬はなにかの約束に強く囚われている。しかしそこで娘の友香が通報してしまい、邪魔が入る。
その後、いつも3人でつるんでいるという一人、瑠衣が瞬の代わりとやって来て、もう一人の冬馬と瞬が不適切な関係だとか、瞬が好きだけど冬馬と寝たとか、瞬は占い師によると「あめ」という女の子の幽霊に憑つかれている、とか話す。瞬が入院していた病院で雨のつく女の子が死んだのは事実の様子。
やがてゲイをカミングアウトした冬馬が自殺、瑠衣はその前に瞬と関係していたが、冬馬に悪いと拒否されたとか、瞬も死んでしまうのではないかと心配している。
瞬はキャンプで10歳の時にいたずらされた事(だから10歳より前の記憶がほぼない)や、9歳の時に入院していた病院であめという女の子と、今後あめ以外の女の子を好きにならないと約束した事を思い出す。だけど瑠衣が好きだから、もうあめを忘れたい、でもあめを忘れたら自分を好きだった冬馬の事も忘れてしまうのではないかと恐れている。
これは結局、どうなるのか分からずじまい。なぜなら瞬に「あめを忘れるのは裏切りですか」と訊かれた天間が何も答えられず、そこで終わっているから。でも私はこの子は大丈夫だと思う。なんと言っても瑠衣は生きてるんだしね。
瞬も相当ヤバい感じだったけど、実際はとても純粋で傷を負った少年でしたという。

天間もまた深山美姫子という、かつて師事したカウンセラーの診療を受ける事に。自分は今、どん底だとか、もうすべて捨ててもいいかとか初っ端からかなりきてる。更に浮気から戻った妻とのカップルカウンセリングになり、どんどん混乱して行く。妻も反省したり、了を一方的に責めたり不安定。
途中で妻はカウンセリングをやめてしまい、了だけが通い続ける。やがて了は自分の母親の記憶と父親の記憶が事実と違っている事に気が付かされる事に。
一方的に母を捨てた訳ではなかった父、母を実は見殺しにしたと思っていた了は本当は母をちゃんと救っていた事などが美姫子との対話で徐々に明らかになっていく終盤は見事な展開でした。事故現場から森を彷徨った了は母を見捨てたと思っていたが、実際には森を抜け、事故現場を正確に伝えて母を救っていた。
しかも母は双極性障害を患っていて、その頃には治療法も分かってなかった事。それでも母を入院させなかったのは父が子から母を奪ってはいけないと思ったからではと。そしてまた了の妻も同じ病だと思うと美姫子。妻と別れるか、別れないか決めるのは了だと美姫子。ただ妻は子育てはちゃんとしており、仕事も見つけたと言うので別れたら了は子供を失う事になるだろうと(この辺はなあ、無治療の双極性障害で出来るかなとは思う)
了は僕はずっと森にいたんですね、と顔を覆うが美姫子から選択肢を告げられると顔を上げ、やがてゆっくりと微笑むのでした。このシーンはもう、ちょっと鳥肌ものでした。正直、この2人の役者さんを私は上手い方だとは思わないんだけど、ここの美姫子も了も素晴らしかった。特に最後の了の笑顔はんもうやられたなと。稲垣吾郎ならではでしょうね、あの美しい笑みは。
果たして了は、父と同じ道を歩んで妻子を(形としては)捨てるのか、妻を別れず一緒に治療して行くのか、それは分からない。笑顔をどう取るのかですよね。私はなんとなく、別れるような気がします。そして苦しみ続けると思う。なんとなく。

中々、よくできたドラマなのでぜひレンタルしてまとめて見て欲しいです。

by hyakurin | 2013-10-31 15:31 | 日本のドラマ | Trackback | Comments(0)

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