春風亭昇太35周年記念落語会「夜道に月あかり冴えて」(本多劇場)4日追記あり

本多劇場は10年以上ぶりで、昔泣くほど迷った事があるので緊張して行きましたがあっさり着いたです。と言うか、一体あの頃のワタクシはどうやって迷ったんだよってくらい。行き方が何種類があるからか。
そもそも下北沢とか、用事でもなければ絶対行かない場所だから何度行っても馴染めずじまいなんだよな。今回も劇場にのみまっすぐ行ってまっすぐ帰ったけど。
と言う訳で春風亭昇太プロデュース「下北沢演芸祭2017」の内の「夜道に月あかりさえて」の初日、行って参りました。

この先、演目とかに触れますのでネタバレが嫌な人は読まないようにご注意ください。







今回はローソン様のおかげで素晴らしく前の方の席なんだけど端っこの下手側なんだよなーって思ったらこれがまあ逆に大当たり。
26周年の時と同じく、高座の横の下手にお茶の間的なスペースがあり、そこに昇太さんが高座に上がる以外の時はずっといて、着替えたりお茶飲んだり喋ったりしてるのをめっちゃ近くで見る事に。師匠も言ってたけど今回生着替えが多いのなんの。
てかそもそも幕が開いたら、その茶の間スペースに襦袢姿の昇太さんが寝転んでると言う。襦袢って言ったら下着姿ですから考えたら凄いシチュエーションですよねえ。あの白地に蝶が飛んでるかわいい襦袢でした。ちなみに、今回も時間が押した、なんとか考えないとと言ってる時に、そもそも最初は着物着てればよかった、とおっしゃっていたので初日だけの事かも。
今回は出るのは昇太さんだけ、上記のように袖には下がらずにずっと舞台にいてまさに昇太さん尽くし。

本日の演目
一、牛ほめ
一、悲しみにてやんでい
一、寝床
仲入り
一、オヤジの王国

ああ、下北沢は苦手だけど行って良かったと言う素晴らしい番組です。
それととにかく合間にたくさん喋ってらっしゃるのですがとても書けないので少しだけ。

まず、色々紅白の話やら今川義元の話やら独り言のように喋る。今川義元が中々評判いいとご機嫌。
それから学生時代に落研に入り、柳昇師匠に弟子入りして、厳しくないからホントによかったなとか、二ツ目の時は怖い物知らずだったなとか(これは何度も言ってましたね、それと俺が可愛かったから的な事も)
柳昇師匠には新作は自分で書け、古典を教えようって言われたのに20年で教わったのは2つだけだったなと言う事で出来るか分からないけどやってみようと着替えて、前座の頃のように着流しで高座に上がって「牛ほめ」
昇太さんの与太郎って馬鹿で小狡いのにどこか可愛らしいんだよね。と言うか本当に可愛いのよ。そこが昇太さんの好きなとこ。

再びお茶の間スペースに下がり、二ツ目の時はとにかく新作を書いた、だけどその頃は落語と言えば古典だったから苦労したり怒られたり、お金もなくてと言う話。お茶を入れて飲んだり。ポットがあるし、淹れ方も最後の一滴まできっちり入れると言う静岡県民のこだわりを見せたり。
いつか女子大の前でお洒落な立食い蕎麦屋、夜はバーの店やりたいなとか。人生相談とかきっと上手く出来るし、その流れで女子大生が間違って胸に飛び込んでくるかも、と夢を語る。それにお客も昔は若い女性が7割方だったのに今はなあみたいな。それはどうにもならないよう。
それでも他の協会の人からも面白いって言われた新作やってみよう、で着替えて「悲しみにてやんでい」
この古典派をおちょくった感じが好きだ、物凄く。

落研の時に老人ホームへ慰問で行った、でも慰問とは名ばかりで単に落語やりたいだけだった。しかもみんな「文七元結」とか下手なくせに長い人情話やりたがるから、聞く方のお年寄りも散々で。でも俺は分かってるから「子ほめ」とかやって、おばあちゃんにも褒められて、でもあの老人もう生きてないなとか。
次は好きな古典やろう、でも途中から完全に原型なくなってるけどと言って「寝床」
私はこれがいつか生で見たい(あえて見たいで)と思ってたんですが案外早く実現してとても嬉しかった。姿勢を低くして義太夫を避けろとかねもう、ホントに大いに褒める意味で馬鹿馬鹿しくて最高、最高でした。
昔なら休憩入れないけど、お客さんも若くないからと仲入りへ。

仲入り後は新しい着物を既に着た状態。成金の本(芸協の二ツ目のやってるユニットが「成金」)を見ながら、今の二ツ目はいいよな、今の内に芽を摘んでやろうとか、昇々はドイツの血が入っててとか、本を投げ捨てたりとか。
俺が前座の時にはとにかく前座が少なくて寄席を2人で回したりとかしてた、今は20人とかいるもんな、大変だなとか。
あの頃よく食べたと茶箪笥から焼き鳥の缶詰だしておひつのご飯をよそってかけて食べたり。焼き鳥の匂いがマジでしてきたのには笑った。ホントにおいしそうだし家感凄いし。それを何百人って客前でやってると思うと凄い。
好きな新作をやろうと袴をつけて「オヤジの王国」
結婚もしてないのにこの悲しいお父さん感はどう出してるんでしょうねえ。途中で巨人ファンをさらっとディスるところが好き。昇太さんの家庭のイメージってホントに身も蓋もなさすぎて凄い。私のとこなんかは子供もいないし、あんまりあんな感じじゃないけど見るたびに、ああなっちゃいけないなって思うもん。

終わって一旦茶の間に下がって袴を脱いで、さあ帰ろうと再び高座へ。演目にはないけど、少し続きました。
歩いていたらいつの間にか荒野を歩いている昇太さん。その時目の前にボロ家が出て来て、表札には「ネタの家」
入ってみると今までに自分が作った新作たちがいる。
でも松野明美物語とJRの悲しみは死んだとか、最近この家に誰も新しいのが来ないと言われて「SWAが終わって締切もないし、目の前の仕事をこなすだけで中々書けない」と言うようなお言葉。なんだろう、新作やらないんですかとか新しいのはとか言われるのかな。
「いつかまた書くから」だそうですのでそれを楽しみにしておきたいと思います。

今までの落語会のフライヤーが飾ってあったり、出るときに貰った今回のフライヤーの裏には昇太さんからのメッセージがあったり最初から最後まで心配りのある楽しい会でした。



追記:
ひっそり千秋楽も行ってきました。今回は後ろの方なのでのんびりと。
変わった点を書いていきます。
・オープニング、初日は襦袢で寝転んでましたが着物を着た状態で。着替えは減りました。それと話しながら着替える様に。でも大して時間短縮にはなっておらず。
・昔は若い女性客が大半だったのになあって嘆きに熱が入ってた。ホントに申し訳ないけど、若返れないしなあ。でも一つ言うとすると「オヤジの王国」があるあるって面白いのは40代、ギリ30代半ば以降ではないのかな。それより若い家族って割と仲良し家族が多いような。通勤に時間のかかる郊外に家は買わないらしいし。
・「悲しみにてやんでい」のところで最初の家は「ストレスの海」で買ったようなもので「ストレス御殿と呼ばれた」とか「悲しみにてやんでい」は落語協会の人が結構褒めてくれて、多分あの人たちの胸に刺さったのかなとか。それと談志師匠に「てやんでい」の言い方が違うと稽古されたけど、その言い方だとやりにくいからやった事ないとか。
・転売チケットに高値が付いているのを買わないで欲しいとの事。買った奴が困ればいいし、7000円とかで買ってくれるなら僕が探してきて売るとか。それに客が3500円に見えると何度か言っていたのですが、7000円出して来たって僕は3500円分しかしませんとか。でもやっぱり時間短縮できなくて、4000円分くらいやっちゃったなとかもうホントに昇太さんらしいよ。
・初日はおひつのご飯よそって焼き鳥缶をぶっかけただけでしたが、今日は缶詰をお湯で温め、生卵の白身と黄身を分けて白身をメレンゲ状にしてご飯にかけ、温めた焼き鳥缶をと黄身を乗せて出来上がり。と凝った感じに。蜜柑も食べてた。
・成金本を叩きつけ、潰してやると初日より激しいお言葉。
・「ネタの家」は「オヤジの王国」からそのまま続けた。袴つけてなかったな。死んだのが「Jリーグの悲しみ」になってた。全体的に要素が増えて慣れた感じに。これって改めて聞くと深い話で。今まで書いてきた新作への思い、今の状況、「調子にのるなよ」とサゲをつけたのが昇太さんらしいし、まっすぐ進むと言う宣言でもあった。これからも俺は俺だって。
・昇太さんからのメッセージで、周りから批判されたりとか漫才ブームの中で落語をやる事とか暗中模索の日々で、でもいつも夜道に月あかりが差すように何かしら光は見えていて。だから自分は大丈夫だと二ツ目の頃から漠然と思っていた、と言うような事が書かれていたのですが、そうやって希望を失わずに自分の道を進んできた昇太さんだからこそ今があって、今もかっこいい素敵な人なんだなって思いました。中々、光って見えないじゃない、いつでも見えるって普通は思えない時もあるよ。なんか改めて読んでみると泣きそうになった、なぜか。

[PR]

by hyakurin | 2017-02-02 08:40 | お笑い・落語 | Trackback | Comments(2)

トラックバックURL : http://escape72.exblog.jp/tb/26602006
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-02 09:35
一度だけですが下北で昇太を聴きました。
あれも楽しかったけれど、こっちの方がずっとよさそう。
こんど行ってみたくなりました。
Commented by hyakurin at 2017-02-02 09:53
> saheizi-inokoriさん
すっごくすっごくよかったです。今回のような形式は記念公演ならではの演出なんですが、例えば毎年紀伊國屋ホールとかでやってる「オレスタイル」もこんな感じで、昇太さんがやりたい事をやる会になってまして、ホントに自由で楽しいです。
ただチケット取るのが大変は大変なんです。
それでも大きなホールよりこういう劇場の方がいいですよね。